京極夏彦
読み始める前はもっとおどろおどろしい雰囲気の小説なのかと思ってましたけど、手を出してみたら それはもう印象が全く反転。 恐ろしいまでに謎を論理的に解明していく様がね、そのために太くても我慢するよ。 京極夏彦ベストは「魍魎の匣」、後に残ります。


「邪魅の雫」(講談社文庫)
疲れた。
ある一週間で本を読む時間がほぼないと、結局次の一週間も本を読めないリズムになってきますよね、 どこかでリズムを変えないとと思いつつろくに読まないまま盆になってしまっていました。  読み始めてから約二ヶ月ぐらい経ちますけど正味一日で読了と、久し振りに本を読んだという充実感に包まれました。
相変わらずの前半部、しかも約二ヶ月かけてじっくり読んでいましたから正直誰が誰かに非常に苦しみました。  それぞれがそれぞれの世間で動いている上にややこしい人が違う名前であちらこちらに出張っているおかげでより難解にしてくれたと、 振り返ってみれば良い思い出です。
絡新婦の理と何となく比べてしまいそうになります。  京極堂の憑き物落しもほとんどの人が死んでしまっていて対象者が少ないのも少しアレですけど。  それでもあれだけ語り尽くして憑き物落しのシーンは、これを楽しみにしてこのシリーズを読んでいますから 何とも言えない至福の時間と。
榎木津の出番が少なくて不安でした、憑き物落しの場面にも同行せずに何をしているんだと心配していたところで 最後の最後で現れて華麗に締めてくれたまるで探偵みたいな活躍に感激。  榎木津が止めに憑き物を落としてのエンディングがよかったよかった。
それに比べて木場修の扱いが不憫に。

「今昔続百鬼―雲」(講談社文庫)
特に意味もなくなんとなく百鬼夜行のようなモノと思い込んでいたんですけど、読み始めてみれば 全く違った印象。 妖怪研究家と言いながら現実にはいないと思っている多々良先生萌え、というかあの一味にはあまり 個性的じゃない人はいないのだろうか?と、この沼上さんもその内本島さんみたいに徐々に染まっていくのかと思いきや、 やっぱり個性的な人でした。 そして最後の最後にちょこっと出てきて憑き物を憑けるだけ憑けて行った京極堂に燃え。

「百器徒然袋―風」(講談社文庫)
暗黒館を読了した勢いで手を出してみる、実際この太さは短期集中で読みたいですよね。  それにしてもこれは京極堂だなぁとほっと安堵感。 相変わらず微妙なキャラは再登場か新登場か分からない ですが、そこはもう人名辞典でさっさと調べます、まあ調べても思い出せないことが多々ありますが最早気にしません。  本編にはないはっちゃけ感が素敵です、さすが榎木津と言ったところですか、でも願わくば京極出番なしで榎木津大暴れしか していないのに当たり前のように無事解決とかみてみたいです。

「百鬼夜行―陰」(講談社文庫)
なんて言いますか‥ある意味読者への挑戦と受け取ってしまうのは記憶力に自信がないから でしょうか。 なとなく思い出せる人もいれば、どうしても思い出せない人がいて、仕方ないのでカンニングしてみたら‥‥。  十作からなる短篇集で、京極堂が細かい憑き物落しを繰り広げるのかなと思いきや、全く登場せずで少し肩透かしです。  ここで発生した怪異は本編で落とされるようですが、まだ本編に出てきてない人もいるんですね、これはその内 出てくるのでしょうか。 なんにしても典型的な外伝ですね。

「百記徒然袋―雨」(講談社文庫)
どうもコレ中編集らしいのですが、普通に長編集と言われても何の疑問にも思いませんとも。  とりあえずみんな大好き榎木津大活劇、心なしか京極堂も本シリーズに比べてはっちゃけてるような感じですし、 そんなに肩肘張らずに気楽に読了です。 二話目ですでに陰摩羅鬼の後のお話になっているみたいなんですが、 そもそも文中では伊豆の事件とか新婦連続殺人事件とかの通称で呼んでますけど、それらの事件がどの作品だったか 思い出すのも大変になってきました、ああ大変だ。

「陰摩羅鬼の瑕」(講談社文庫)
読みやすかったですね、今回は、相変わらずの厚さですが。 事件もそんなに複雑ではなく、 登場人物も(過去からの再登場も)少なく、それなりに理解しやすい内容なのに、きっちり1200ページを超えてくるのが 素敵です。 なんにしても、短編集?に手を出す前に本編が出てしまい、短編集飛ばしてしまったことが少し心残りです。

「塗仏の宴 宴の始末」(講談社文庫)
ちょっと登場人物が多過ぎましてね、きちんと把握しないうちに読み進んだのも駄目だったと今更ながら に思います。 そのせいで怒涛の本末転倒が???な感じで終ってしまいましたが、それを踏まえても合わなかったです。  便利すぎるアレもなんですが、昔みたいな京極堂vs怪異の方が好みでした。 それと、ああ関口君‥。

「塗仏の宴 宴の支度」(講談社文庫)
今回のこのぐらいの太さが持ち運ぶのに丁度イイ感じですね、手に持って読むのにも程よく疲れずと‥ まぁ上巻ですけどね‥これ読了してもなんら終ってないって素敵過ぎですよ。 とりあえず我が愛する関口君大活躍?していますので 大満足ですよ、あの危うく儚い感じがグッとくるんです。

「絡新婦の理」(講談社文庫)
久し振りに思いましたけど、やっぱり持ち歩きには全く向いていないこの分厚さだけでイケますよ、 もはや。 杉浦美江と榎木津の対談とか相変わらず燃えポイントはそこかしこに盛り込まれてますが‥でもでも我が愛する関口君 の出番がアレだけなのが不満です。

「鉄鼠の檻」(講談社文庫)
「兄貴も知らない寺だったんです」この一言だけでもう満足でした、この一言に鳥肌を立てるために 今まで京極堂シリーズを読んできたと言っても過言じゃないです。 &地下牢の榎木津とね‥燃え。

「狂骨の夢」(講談社文庫)
正直読了してもまだなんか???な感じなのです、きちんと落ちてないようなので出来れば再読したい けども、さっさと次に行かないと次もまた分厚いのが待っていることですし‥行きましょう次に。 とりあえずこの位の厚さなら そんなに驚くほどでもなくなってきたってことは、成長したと言えるのかな。

「魍魎の匣」(講談社文庫)
映画が個人的にアレだったので勢いで読み始めましたがナニハトモアレフトェ。 ページ数四桁なんて 勿論初めての経験ですが、これらのコメントは後に取っとかないとね。 ともかく「問題はどう表現するかではない。  どう理解されるかです。」の台詞に痺れました、お腹一杯です。

「姑獲鳥の夏」(講談社文庫)
基本的には再読はしない派なんですが映画化、しかも堤真一阿部寛永瀬正敏というストライクど真ん中 なキャストじゃないですか‥でとりあえず再読してみました。 でも最初に読んだのはこのサイト始める前でしかも借り物、 あの頃はこの位の厚さを見て途方に暮れたものですが、今では少し太め?で済ませるようになったのはソコソコ色んなレベルも 上がってるのかな?と思ったりしたりで。 以下少しネタバレで「前回は結構苦痛だった初めの京極堂と 関口君の会話ですが、当たり前なんですけどネタを知ってると楽しくスラスラ進め、そもそももう少し関口君がしっかり? してたら梗子との最初の面会で事件解決してたり、でも榎木津の特異性を今まで描いてたから先入観を持っちゃって しまったりと、そんな感じが終始憑き纏うのがイイですね。

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