歌野晶午
「家守」の感想の通りなんですが、初心者の頃に読み続けたせいか、正直印象残ってなかったりするん です。 そこから最近まで結構間が空いてますし、なんとなく面白かったような気がするという儚い記憶を大事にしていきます。  そんな歌野晶午ベストは「葉桜の季節に君を想うということ」、タイトルが綺麗ですよね、内容とも相俟って素敵な感じです。


「ハッピーエンドにさよならを」(角川文庫)
ショートショートを含む11篇の珠玉の短編集。
タイトルの意味がとても深いです。 凄く好みな作品が大量に載っていて幸せでした、 「おねえちゃん」や「消された15番」とか「防疫」を読んでいるとニヤニヤしてしまった、かといって油断しているとオチにやられたりとバリエーションに富んだ一冊、 黒いって素敵。

「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」(光文社文庫)
逆に新鮮。
ときどき探偵は過大広告、どちらかというとわざとらしくなくヒントを振りまくコナンくんポジション。  サクサク読める連作短編集、脂っこい伏線もそんなになくすっきりした印象でした。
歌野晶午ということで最後にまた何かやらかしてくるだろうと意気込んで構えていたんですけど、案外きれいに終っていったのが逆に意外でした。  続編書こうと思えばいくらでも書けそうですし、爽やかに面白かった。

「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(講談社文庫)
歌野晶午はやっぱり突き抜けている。
大小あわせて大掛かりなものから小ネタ的な下らないものまでお腹いっぱいな物語でした、 しかし小気味好い中篇連作集だと思って楽しんでいたのにあの結末って‥。
どちらかというとコロンボの方が女性だと思い込んでいましたね、 薄幸の少女的なイメージを作り上げていたのであの本体には辟易でした。  一ヶ月も家を空けたことに誰にも気付かれない引きこもりって素敵。 オンの知り合いがオフでも知り合いだったと、 ネットを使った物語ではしかたないものですけどと達観したことを思いながらも、 何気なく殺したお兄ちゃんがコロンボだったと判明したときには「んじゃこらっ」って久しぶりに言ってしまいましたけどね。
しかしこの状態からどうやって続けるのだろう、とても気になるので早く続きを。

「女王様と私」(角川文庫)
歌野晶午は何処へ向おうとしているのか?
本筋と関係ないところで絶対何かしでかしてくると思い本編に集中できませんでした、 結局身構えていたのに対応できなかったのは悔しい、と言うよりどうなんでしょうこれは、いいのか? でも歌野晶午だからいいかと思ってしまう自分もいるわけで、これが歌野晶午じゃなかったら読了後本を投げつけているかもしれませんね。  一応ミステリしてますよね、探偵の密室殺人はスルーされてますけど、 本当にどうして最後にちゃぶ台をひっくり返すような真似をするのかとね。
徹底的に感情移入できなかった、寧ろムカついた感のある真藤数馬の結末は良かった、すっきりしました。

「そして名探偵は生まれた」(祥伝社文庫)
「そして名探偵は生まれた」 めいたんていで変換すると銘探偵が一番最初に出てきます、いい感じです。  事件の通称って誰が付けているんでしょうか、これは探偵が自ら付けているっぽいですけども、ふと疑問に思ってみたわけで。
「生存者、一名」 何か聞いたことタイトルだなと思っていたら文庫で持っていました、大丈夫か記憶力。 しかし内容はなんとなく覚えていました、どうともとれる妄想の余地があるオチも好きです、ギスギスした人間関係もね。
「館という名の楽園で」 何か聞いたことタイトル(略)。 名前が出てきた時点で全てを思い出しました、 結構覚えているものですね。
「夏の雪、冬のサンバ」 とある作品の試作品だということに解説を読んでから気付く。  この探偵は既出だということも解説を読んでから気付く、実際どのくらい探偵って覚えているのもなんでしょうか、 シリーズ探偵なら分かりますけど、単発の再登場なんて厳しいですよね。

「ジェシカが駆け抜けた七年間について」(角川文庫)
葉桜の次と言うことで若干期待しつつ、でもどっちかと言うと世界の終わりの方が印象に残っているかもしれません。  どっちにしろ「んじゃこらっ」って言いたいところです。
そもそもエチオピア時間なんて知らないよは禁句?、世の中には変わった風習があるんだねとあっさり 受け入れてしまったんです、ミステリ読んでいるんだからもう一歩疑いましょう。  最初に出てきたカレンダーをよく読めば分かるのがより悔しい、時間の方に気をとられて日にちまで気がまわらなかったとでも言い訳してみる?
一回目の7年後があるじゃないですか、読了後あれっておかしいんじゃないのかとモヤモヤしてたから、 じっくり読み返したんですよ、なるほどって言葉はこういうときに使うためにあるものだと気付いたぐらいなるほどって言いたい、凄い納得。  7年前にしろ7年後にしろ何処から見ての時間なのかと、最終的にジェシカとアユミが‥ね。
もちろん「んじゃこらっ」って言いましたよ、2回ほど。

「葉桜の季節に君を想うということ」(文春文庫)
何故か凄い期待していた作品、みんなが面白い面白いと連呼してるのを聞いて、それを真に受けるって 正直天邪鬼な自分としては珍しい出来事なんですがね。 そして今読んでいる本を中断してまで読み始めた、そんな期待を 裏切られなくてよかったよかった。 デリケートな内容なのでとやかく言えませんが、読了して得た印象は良し悪しが 半々なんですね、前向きに捕らえると自分もまだまだだね、もっと頑張ろうって気になるんですが、単純に冷静に捻くれて 捕らえると少しショックなんですね、特にヒロインが‥‥。 とりあえず面白いことは間違いないです、とりあえず 読んでみたらいいと思います。

「ブードゥー・チャイルド」(角川文庫)
読了したのが6年ぐらい前だけあってイマイチ内容覚えてないんですが、とりあえず凄く面白かった ことだけは覚えているんですよね、好印象。 それとトリックに感心したような気もします、うんあの頃は若かった。

「家守」(光文社文庫)
どうもイマイチ歌野晶午を捉えきれてないんですよね、いまだに、基本的に島荘の直系として 考えていればいいのかな、と。 なにを今更なことを並べてるのかと少し思ったけど、まあいいや、このままで。  描かれてた謎がいとも簡潔に明かされる、こんな感じが好きなんですよ、若干大掛かりなトコロもイイですし。

「世界の終わり、あるいは始まり」(角川文庫)
ものごっつい妄想族です、一番最初はただただ純粋に推理(妄想)を聞いていたので、その結末に驚き、 そして驚き。 二個目三個目の推理(妄想)で軽く慣れて、結末に驚き。 タイトル通りでした、まさに。

「安達ヶ原の鬼密室」(講談社文庫)
絵本っぽい→アメリカ→鬼密室→回想と場面転化が激しく、それぞれどう繋がってるのかが 気になりながら読み終えるとほ〜って感じ。 ダイナミックと言うか大掛かりと言うか面白かったことは間違いなく。

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