「江戸忍法帖」(講談社文庫)
凄く静かな立ち上がり、お供三人が何もせずに死んだときにはどうなることかと思いましたが、
結局そのままのなだらかな感じに物語が進んだことに少し驚く。
お縫と鮎姫の二人の愛憎劇が印象に残り、最後に一番おいしいところをさらっていった水戸黄門のインパクトに
隠れた主人公の葵悠太郎、なんという影の薄さ大爆発なんでしょう。 それよりなによりエロ要素が皆無なのことをどうしようかと、
いい意味でも悪い意味でも今まで築いてきた忍法帖のイメージというより山田風太郎のイメージを覆された作品。
個人的にはエログロが多めな方が好きですね。 「奇想小説集」(講談社文庫)
相変わらず先を行過ぎています。
◆陰茎人
鼻のあるべきところに陰茎がぶらさがっている男の話。 もっと激しくいい感じのエロさを求めていたら
案外オーソドックスな山風でした、トンデモ設定なだけにもっとドロドロな展開も読んでみたかったですね。
◆蝋人
こちらの方が求めているものに近い感じですね、でも突き抜けすぎてついていけないフェチ加減が最高。
◆満員島
ボリューム的にもこれが一番面白いと。 増えすぎたものを抑えるだけじゃなく、
きっちり減らそうと裏で努力していることが大切ですよね。 ちょくちょく妖しげなものを発明する素広平太博士が素敵。
◆自動射精機
自分で作ったものを自分で覆していく素広博士の真骨頂を発揮。
プレイボーイとして雷名たかい面々の自動射精機のレビューが特集される世の中なんて。 そして挙句のオチの皮肉さが何とも言えない。
◆黄色い下宿人
ホームズって読んだことはないんですけど、島荘といい基本ホームズにいい印象が得られないんですね、
虚仮威してカタルシスが得られる安易な人物ってことでいいんですかねホームズって。 「くノ一忍法帖」(講談社文庫)
このシリーズを読んでいると服部半蔵が全然大したことない人に思えてくるんですけど大丈夫なんでしょうか、
昔から持っていたイメージが段々崩れていっているんですけど。 しかし「くノ一忍法帖」というタイトルで膨らんだ期待は
一体何処へ向ければいいのやら、確かにエロかったですよ、でも何時ものように妄想を膨らましすぎたとしか、次からは自重します。
そして忍法帖なのに最強?が丸橋だったことに驚き、この飛びぬけた性能のこいつを倒すには柳生十兵衛とか
連れてこないと勝てないんじゃないすか。 魔界転生させて転生衆に加えても遜色ないですよね。
ラストがなんだかよく分からなかったですけど、なんだか凄いってことはなんとなく伝わってきました。 「明治断頭台」(ちくま文庫)
推理小説風時代小説だと思い込み読んでみたら普通にミステリだった、しかし主人公カップルのキャラは立ち過ぎだと。
なんとも言えないプロローグから始まる連作短編集、香月経四郎とエスメラルダの探偵役にしては意外に真っ向勝負な
内容。 ただ一番盛り上がる解決がエスメラルダが死者を憑依させての語りなので、台詞が全部カタカナなんですよね、もう読みにくいのが
勿体ないとしか。
いやしかしこれは何はともあれ最終章を読んでみれとしか言えません、なぜ最高傑作ミステリとしてあげられているのかが
悔しいほど分かります、無駄にゾクゾクと鳥肌立ちまりですよ、いやいや本当に一度読んでみて下さい。
実際誰が実在人物なのか意外と微妙に分かっていないところもありますけど、こういうのを読んでいくとその内
詳しくなるんでしょうかね、明治小説全集が全14巻か‥どうしよう。 「魔界転生」上下巻(講談社文庫)
あまり日本史が得意ではない自分でも知っている人たちが満載な今作、バガボンドのおかげもありますけど、その分
宮本武蔵の最後に少しショックがありました。 前半の人物紹介での有名所がわんさか登場していたのに誰が主役かとヤキモキしながら
読んでましたけど、今出てきた人たちが全員敵だと知った時のワクワク感は異常。
とりあえずまだ半分なのであっさりめで。 ひとつ不満をあげるならエロ成分が少し足りない。 今までの忍法帖シリーズと同様に一芸に秀でた能力バトルを期待していたので、ストレートな剣術戦に少し肩透かしを
食らいました、ストレートといっても気合と根性でどうとでもなる勢いだけのものでは当然なく、山風最高傑作にあげる人が多数いるのに
ナルホド納得と。
基本的に忍法が復活に使われているぐらいであまり出番がないんですが、その代わり雑魚同士の戦いが地味に
干渉しあって中々に面白いです、なんとなくレミングスを思い出す、命令されて使い捨てられてと。
ところで由比正雪はどうなったんだろう?結末が書かれてなかったような‥読み飛ばしてしまった?少し急ぎ気味で
読んでいたのが見逃した原因かなと、それとも本当に書かれていなかったとか?
やっぱりエロ成分が足りませんでした、そこだけが不満です。 「忍法八犬伝」(講談社文庫)
一言で言うとガッカリでした、あまりにも過度な期待をしてしまっていたんですよ、だって八犬士対
伊賀女忍者八人って言われたら誰だって期待するでしょう、なのになのにそんなにエロくなかったんですよね‥どこまで
激しいのを期待していたんだって話になりますが、ぶっちゃけそこまで期待していたってことです。 残念ながら
中断することが二回ありましたけど、入れ替わりすぎてどっちの村雨が本物かが若干意味分かんなくなり数ページ巻き戻ること
数回、 やっぱり化かし騙しあいは見事としか。 「跫音」(角川ホラー文庫)
正直難しいなんて思いながらもなんとか残り4ページぐらいまで到達したのに、まさかのインフルエンザ
で一週間寝込む‥予想外です。 でも実際、残り4ページで一週間寝込んだのが痛いんじゃなくて、ほぼ読了してたのに
感想書かずに一週間放置した方が痛いんです。 ソコヲナントカ、ん〜ジャンルホラーだったのでなんとなく自然にB級
スプラッタを想像していたのは何でだろ? 家にあったただひとつのホラー小説、綾辻「殺人鬼」行人の所為かもね。 「伊賀忍法帖」(講談社文庫)
柳生石舟斎ぐらいなら知ってます、バガボンドに出てきたから。 そもそも昔の人は名前が
色々ありすぎですね、役職とかを名前に組み込んだり、親の名前を一文字もらったりとややこしいことこの上ないです。
それにしてもそれぞれ念能力を極めた人達を、基礎しか出来ない奴が四苦八苦しながら倒していく様って、なんて燃えるんでしょう。 「忍法忠臣蔵」(講談社文庫)
甲賀忍法帖のように痛快能力戦闘活劇を期待してただけに少し肩透かしを食らいましたね。 そもそも
忠臣蔵は殿中でござると討ち入りしか知らない(+日本史にも疎い)ので、史実の人物が出てきてオリジナルの忍者と
あーやこーやと絡むを読んでも、面白さ半減だと思いました。 ややこしい立場の主人公と相手との化かしあいが楽しかったの
で勿体無いことをしたのかもしれませんね。 それと昔の人の名前って読みにくいのも辛かった、「矢頭右衛門七」の七の部分を
どうしたらいいかとか悩みましたね、「やずえもんしち」か?「やずえもんしち」でいいのか?と自問自答を最初から最後まで
繰り返したり、浅野内匠頭は読めても内匠頭は読めないとか、はたしてこんな奴が読んでもいいのでしょうかね。 「甲賀忍法帖」(講談社文庫)
バジリスクを中途半端に見せられ、SINOBIも無理矢理見せられ、あまりにもその二作のギャップが
あったのでついつい原作に手を出す、よくある風景ですね。 なんていうか原点回帰ですね、能力バトルここに極まれりと、
jojoとかH×Hとか確実に引き合いに出されてると思いますけど、こりゃあそりゃあ引き合いに出しますよ。 とりあえず
薬師寺天膳は死に過ぎです、素敵です。
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